ターミネーター4
http://bd-dvd.sonypictures.jp/terminatorsalvation/
だいぶ前にも書いたが、僕は『ターミネーター』シリーズは2までしか観ておらず、3は設定や予告篇、それからジェームズ・キャメロンがメガホン(って今でも使うのか?)をとっていないという点から「無かったこと」にしている。
個人的に僕が『ターミネーター』で重要だと思うのは、“絶望感”の演出である。特に『1』などは最初から最後まで生身の人間のみでターミネーターと戦わねばならず、死ぬほどしつこいT-800(シュワちゃん)、そしてそのT-800が洗面所で眼球の修理(だっけ。忘れた)をするシーンなど、ほとんどホラー映画といってもいいぐらいの絶望感と緊迫感が漲っている。
『2』ではT-800が人間の味方として登場することになり、それだけなら安易な続編になりそうなものだが、機械軍であるスカイネットの送り出した新型T-1000のインパクトが強烈だった(CGのクオリティも当時としては恐ろしく高い)ことと、様々な細かい演出が実に効果をあげていて素晴らしい作品になっていた。
冒頭で流れるガンズの曲のPVには断片的に『2』のシーンが織り込まれているが、例えばT-800が赤いバラを踏みつぶすシーンなど、特に作品の本筋とは関係ないが妙に印象的である。ガンズはあんまり好きじゃないけど。
『3』については…まあいいや。
『4』を観る気になったのは、ネットで観た予告篇に、僕が期待した“絶望感”のようなものを感じ取ることができたからである。監督がキャメロンでないのは残念だが、抵抗軍のリーダーであるジョン・コナーをクリスチャン・ベイルが演じていたり、舞台がこれまで小出しにしかならなかった近未来であったり、バカでかいロボットが出てきたり、とにかく「これは観てみよう」と思った。
しかしいざ観終わってみると、この映画はまさに「可もなく不可もなく」な出来であり、どこかで誰かが書いていた「予告篇を単純に2時間に伸ばしたような作品」である。
『4』には、殺戮シーンがまず殆どない。『1』や『2』に顕著だった、生身の人間が機械にぶっ殺されるシーンが殆ど描かれない。描かれてもそれは大きな爆発によってのみ描かれ、直接的ではない。痛みがない。一応死体は映るが、今時これほど損傷の少ない死体も珍しい。スカイネットによって解剖されたと思わしき死体がちらと映るシーンもあるが、そこだけ。かなり前に作られた『スターシップ・トゥルーパーズ』(ポール・ヴァーホーベンの悪趣味全開)ほど残虐にやれとは言わないが、『4』には機械と戦う人間の脆さが見えない。
今回出てくる「マーカス」というキャラクターは、ジョン・コナーを差し置いて主役といってもいいほどの働きを見せるわけだが、この辺りもどうにも中途半端。ジョンを中心に据えたと思いきやマーカス、マーカスと思いきやジョン、と視点がふらふらする。本当に良く出来た作品ならこの2人のキャラを両方立てたまま物語を進行させられると思うが、この『4』がそれに成功しているかというとそれは微妙なところである。
それに、編集に難があるのか脚本が雑なのかはわからないが、展開に無理があるというか唐突である。流れとしてわからないではないが、シーンの継ぎ接ぎにほころびが見られる。ので、本当ならもうちょっと観客の感情に訴えかけてこなければいけないはずのラストについても白けてしまう。
その他にも「おいおい、それはないんじゃ…」と突っ込みどころのシーンが随所に見られ、マーカスが川面に投げられた小石のように水を切って吹っ飛ぶシーンなどは爆笑ものであったり、「そんな高いところからババア(このババアのキャラもすごく中途半端)を落としたらいくら下が人間でも大怪我するだろう」と突っ込まずにはいられなかったり、機械の撃つ銃の精度が妙に低い気がしたり、挙げだすときりがない。しかしまあタイムトラベルという設定自体に大きな無理があるような気がするし、このあたりはご愛嬌だろうか。
良い点を挙げるなら、それは『1』『2』(『3』は知らんが)を観た人なら思わずニヤリとしてしまうようなシーンがいくつもあることだ。そうしたオマージュ的なシークエンスは、僕が気づいた以外にもかなり挿入されているのではないかと思う。
ただ、そうなると『4』で初めて『ターミネーター』を観るという(そんな人は少ないかもしれないけど)若い世代にはこの映画はどうということのないアクションとしか受け取れないかもしれない。『1』『2』に思い入れのある人なら、まあそこそこ楽しめる作品ではあると思うが。
ところでドラマ版である『サラ・コナー・クロニクルズ』だが、T-1001(やはり液体金属である)を演じている女が妙にガービッジのヴォーカルに似てるな、と思ったら実際にそうだった。
なぜかちょっと笑ってしまう。
ちなみに今回の『4』は新たな三部作の1弾として制作され、このあと『5』『6』も控えてるようだが『4』の制作会社は潰れたらしい。 まあでもあれだけ続編への含み持たせといて作らないということもあるまい。どこかが引き継ぐだろう。できればキャメロンの復帰を望むけど、まあ無理だろうな。
余談だが、劇中の「人間が機械と同じになってはいけない」というような台詞を、僕はどうしても近年のアメリカの軍事介入と結びつけてしまう。昨今のアメリカ映画に、実際の世界で行われている戦争の影を感じてしまうのは穿ち過ぎだろうか。
↑流れるNINの曲がかっこいい。
だいぶ前にも書いたが、僕は『ターミネーター』シリーズは2までしか観ておらず、3は設定や予告篇、それからジェームズ・キャメロンがメガホン(って今でも使うのか?)をとっていないという点から「無かったこと」にしている。
個人的に僕が『ターミネーター』で重要だと思うのは、“絶望感”の演出である。特に『1』などは最初から最後まで生身の人間のみでターミネーターと戦わねばならず、死ぬほどしつこいT-800(シュワちゃん)、そしてそのT-800が洗面所で眼球の修理(だっけ。忘れた)をするシーンなど、ほとんどホラー映画といってもいいぐらいの絶望感と緊迫感が漲っている。
『2』ではT-800が人間の味方として登場することになり、それだけなら安易な続編になりそうなものだが、機械軍であるスカイネットの送り出した新型T-1000のインパクトが強烈だった(CGのクオリティも当時としては恐ろしく高い)ことと、様々な細かい演出が実に効果をあげていて素晴らしい作品になっていた。
冒頭で流れるガンズの曲のPVには断片的に『2』のシーンが織り込まれているが、例えばT-800が赤いバラを踏みつぶすシーンなど、特に作品の本筋とは関係ないが妙に印象的である。ガンズはあんまり好きじゃないけど。
『3』については…まあいいや。
『4』を観る気になったのは、ネットで観た予告篇に、僕が期待した“絶望感”のようなものを感じ取ることができたからである。監督がキャメロンでないのは残念だが、抵抗軍のリーダーであるジョン・コナーをクリスチャン・ベイルが演じていたり、舞台がこれまで小出しにしかならなかった近未来であったり、バカでかいロボットが出てきたり、とにかく「これは観てみよう」と思った。
しかしいざ観終わってみると、この映画はまさに「可もなく不可もなく」な出来であり、どこかで誰かが書いていた「予告篇を単純に2時間に伸ばしたような作品」である。
『4』には、殺戮シーンがまず殆どない。『1』や『2』に顕著だった、生身の人間が機械にぶっ殺されるシーンが殆ど描かれない。描かれてもそれは大きな爆発によってのみ描かれ、直接的ではない。痛みがない。一応死体は映るが、今時これほど損傷の少ない死体も珍しい。スカイネットによって解剖されたと思わしき死体がちらと映るシーンもあるが、そこだけ。かなり前に作られた『スターシップ・トゥルーパーズ』(ポール・ヴァーホーベンの悪趣味全開)ほど残虐にやれとは言わないが、『4』には機械と戦う人間の脆さが見えない。
今回出てくる「マーカス」というキャラクターは、ジョン・コナーを差し置いて主役といってもいいほどの働きを見せるわけだが、この辺りもどうにも中途半端。ジョンを中心に据えたと思いきやマーカス、マーカスと思いきやジョン、と視点がふらふらする。本当に良く出来た作品ならこの2人のキャラを両方立てたまま物語を進行させられると思うが、この『4』がそれに成功しているかというとそれは微妙なところである。
それに、編集に難があるのか脚本が雑なのかはわからないが、展開に無理があるというか唐突である。流れとしてわからないではないが、シーンの継ぎ接ぎにほころびが見られる。ので、本当ならもうちょっと観客の感情に訴えかけてこなければいけないはずのラストについても白けてしまう。
その他にも「おいおい、それはないんじゃ…」と突っ込みどころのシーンが随所に見られ、マーカスが川面に投げられた小石のように水を切って吹っ飛ぶシーンなどは爆笑ものであったり、「そんな高いところからババア(このババアのキャラもすごく中途半端)を落としたらいくら下が人間でも大怪我するだろう」と突っ込まずにはいられなかったり、機械の撃つ銃の精度が妙に低い気がしたり、挙げだすときりがない。しかしまあタイムトラベルという設定自体に大きな無理があるような気がするし、このあたりはご愛嬌だろうか。
良い点を挙げるなら、それは『1』『2』(『3』は知らんが)を観た人なら思わずニヤリとしてしまうようなシーンがいくつもあることだ。そうしたオマージュ的なシークエンスは、僕が気づいた以外にもかなり挿入されているのではないかと思う。
ただ、そうなると『4』で初めて『ターミネーター』を観るという(そんな人は少ないかもしれないけど)若い世代にはこの映画はどうということのないアクションとしか受け取れないかもしれない。『1』『2』に思い入れのある人なら、まあそこそこ楽しめる作品ではあると思うが。
ところでドラマ版である『サラ・コナー・クロニクルズ』だが、T-1001(やはり液体金属である)を演じている女が妙にガービッジのヴォーカルに似てるな、と思ったら実際にそうだった。
なぜかちょっと笑ってしまう。
ちなみに今回の『4』は新たな三部作の1弾として制作され、このあと『5』『6』も控えてるようだが『4』の制作会社は潰れたらしい。 まあでもあれだけ続編への含み持たせといて作らないということもあるまい。どこかが引き継ぐだろう。できればキャメロンの復帰を望むけど、まあ無理だろうな。
余談だが、劇中の「人間が機械と同じになってはいけない」というような台詞を、僕はどうしても近年のアメリカの軍事介入と結びつけてしまう。昨今のアメリカ映画に、実際の世界で行われている戦争の影を感じてしまうのは穿ち過ぎだろうか。
↑流れるNINの曲がかっこいい。
Tags:映画
# by n7224311 | 2009-11-21 11:59 | 映画 | Trackback | Comments(0)





